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日本児童英語教育学会中部支部 March 2003 第7号 |
春の支部研究大会は6月中旬
もうすぐ2003年度が始まります。小学校への英語教育の本格的導入、すなわち国際理解教育の一環としての英会話活動が本格的に導入されて、1年が経過しようとしております。各小学校での様々な取り組みがなされその報告も増えてきました。文部省の研究指定校として長い間の実績のある学校では、一定の仕組みと成果が生まれつつあるようです。反対に手探り状態からなかなか抜け出せないところもあります。2003年度の第一回支部研究大会では、そのような小学校の中から幾つかの取り組みを取り上げます。「あれからどうなった」「これからどうしようか」「民間と小学校の連携は」「すぐに使えるアイディアはないの」などを小テーマにかかげ、皆様とともに考えていきたいと思います。支部研究大会の期日は6月中旬の日曜日を予定しております。詳細な日程・プログラムは、後日郵送いたします。皆様、万障おくり合わせのうえご出席ください。
JASTEC中部支部長 片桐多恵子
ウェブサイト(ホームページ)を開設

中部支部ではこの度、ホームページを開設しました。意見交換広場(BCC)などもあり、ウェブ上で意見交換ができます。また、次回の研究大会の報告やニューズレターなども掲載していく予定です。どうか活発にご利用くださいませ。URLは以下のとおりです。
<http://shioz.isc.chubu.ac.jp/JASTEC/
支部大会研究発表者募集
2003年度の春の中部支部研究大会を下記の要領で開催いたします。研究発表、実践報告発表者を募集しております。事務局までふるって応募ください。500字程度にご発表の内容をまとめて、メール、あるいは郵便で事務局までご提出ください。締め切りは4月10日です。
場所:中部大学技術文化専門学校6階
名古屋市 中央線鶴舞駅すぐ前
日時:6月8日(日)
午前10:00〜4:00ごろ

電子メールアドレスを教えてください[email protected] まで
会員の皆様に電子メールでも研究大会の連絡などをしたいと思います。つきましては、ぜひ電子メールアドレスを教えてください。アドレスは:<[email protected]>までお送りください。もし、連絡が必要ない場合にはその旨お知らせください。電子メールでの連絡リストからは除外いたします。
2002年度中部支部研究大会報告
2002年度JASTEC中部支部研究大会は中部大学名古屋キャンパスにて以下の内容で、多数の参加者を集めて開催されました。熱心な先生方、学生、研究者が多数集まり、一日中活発に意見が交換され、中身の濃い一日でした。以下それぞれの発表に対しての報告を致します。まず、全体の感想を参加者の一人である安達理恵さんに報告していただきます。
2/9/2003の研究大会に参加して
安達理恵
先日の中部児童英語教育学会では、さまざまな発表、講演、そしてシンポジウムと実りある内容であったが、中でも私にとって最も印象的であったのは、最後のシンポジウムであった。小学校における英語教育と国際理解教育の共存の難しさを痛感した。
私自身、以前この大会で発表させて頂いたが、早期英語教育イコールすべての異文化の人々に対し関心が高まるわけではないことを、子ども達からのアンケートを基にした統計分析により実証し、確信していたので、この2つを総合的な学習の時間の中で、どのようにバランスよく組み合わせて指導していくかが、小学校教育現場での今後の重要な課題となると思っている。しかしながら、実際は、早期英語教育も、異文化理解教育も、小学校の教師の従来からの範疇ではなかったため、教師達は、どちらをやるにも、試行錯誤を繰り返しながら、四苦八苦しながら進めているというのが
現状のようである。委託した外部講師と協議したり、教師自身もさまざまな研修を受けたりするのだが、それも市町村、学校、教師によって取り組み方の違いが大きく、そのことが多くの学校での充分な実践には至らない原因と思われる。文部科学省の方針である「ゆとり教育」や「生きる力」にこれらの教育が有効と考えている学校が多いのは確かなようだ。しかし、文部科学省が本来目指すものとしての教育を実践するには、あまりにも現場に劇的な変化を強いており、教師だけの力では目標としている授業には、とても対応しきれていないという現実がある。
早期英語教育と異文化理解教育をどのように組み入れていくか、外部講師に委託するにはどのような基準で採用するか、各学年の年間の指導目標をそのように(どのように)設定するか、「生きる力」を獲得するための指導は具体的にどのような内容にするのか、教師達、さらには教育委員会が、保護者や専門家の意見を聞きながら、早急に方向性を見極め、着実に実践に移していく必要があるのではないだろうか。
そして、本学会は、そういった場での一つの道しるべ―言わば"guardian"として、今後も活発な提案発表や協議が期待され、重要な立場を担っているのである。私自身も、本学会からこれからも刺激を受けつつ、研究者として、また保護者の一人として、早期英語教育と国際理解教育の方向性・具体的内容についてより考えていきたい。
子どもの発達段階に応じた英語活動ー公立小学校での実践を踏まえて
野田かなえ(中部学院大学)
野田先生は先生ご自身の公立小学校での実践をもとに、子供の発達段階に応じた英語活動はどうあるべきかをデモンストレーションを交えながら、理論面、実践面から報告された。
先生の指導の特徴は、低学年、高学年に関わらずまず、日本語に頼らず、多量の英語のインプットを与えながら推測する力を発揮させる、というものだ。ジェスチャー、表情、リアリア(実物教材)といった手がかりをたくさん用意し、キーワードを拾いやすく、かつ自然な速さとイントネーションのteacher talkを聞かせるという方法である。二つめはアウトプットまでの過程を焦らせないということだ。個々の音でなく、英語特有のリズム、イントネーションを体得させることが大切だということだった。三つめは、本物のコミュニケーションを経験させるということ。会話のキャッチボールを大切にすることや、子供にとってmeaningfulなこと、つまり自分に関すること、伝えたいことについて表現させるということである。
学年によって発達段階に特徴があるため、指導法も学年によって様々な工夫が必要である。低学年には、体全体を使ったり単純な繰り返しや、自分のことを発表させる個人活動を中心とする。高学年には頭を使って複雑なルールや、世界のこと、新しい情報をグループ活動で学ばせるというかたちだ。野田先生の授業なら、小学生でも楽しんで興味を持って英語を学ぶことができるだろうと思った。ちなみに、先生のまるでネイティブスピーカーのような発音とテンポのよい授業展開には、驚嘆するばかりであった。
犬井美菜子(中部大学3年)
小学校での体験的文化教育の試み
発表者 安達理恵
今回の発表は実際に小学校で行われた異文化体験講座の内容が中心であった。特にアジアからの留学生を招き、テーマを「食」として行われた実践を紹介された。お互いの食文化について話し合ったり、クイズやゲームをしたり、ビデオを見たりしたそうだ。小学生のうちにこのような体験をすることは、非常に貴重な経験であり、文化相対主義の考え方を実体験として理解させるには不可欠であろう。
テーマの「食」というのはどの国にも身近なことであり、適切な選択であり、この実践は総合的には大成功しているように見受けられた。しかし、日本人の子供達はまだまだ国際理解が進んでいないという現実もある。「外国=アメリカ」,「アジアの外国の料理=カレー」といったような考えが子供達の頭の中にまだあるという。せっかくこのような機会をつくっても、なかなか実生活の中で活かしきれてないこともあるようだ。この現実はなかなか厳しいものだと思った。
この講座はPTAが行ったため、定期的には開けないものらしいが、このような現実を打破するためにも、是非定期的に行ってほしいものである。
蟹江紗代(中部大学3年)
小学校英語 〜文部化学省研究開発学校における英語活動〜
檜木小重美 望月力
(富士市立元吉原小学校)
檜木氏は富士市立元吉原小学校で英会話専科として、児童英語教育を実践されている。その中で大きな柱となっている考え方は、小中学校接続型の英会話教育をするということだそうだ。このためにALTには小中をまたいで教えてもらっているという。もう一つの柱としては、小一から中三まで通して月ごとに場面を設定することでより身近な言葉に触れさせるというやり方である。授業内容のうち教員の体制は、低・中学年はALTと担任、英会話専科と担任の二つを交代制で行う2人体制である。高学年はALT、英会話専科教師、担任の3人体制で行っているという。3人の教師の役割としては、ALTが発音の手本、英会話専科教師が授業のコーディネーター、担任がムードメーカーや助け役と明確に分担が分かれており、これにより児童にも分かりやすく馴染みやすい授業になっていると筆者は感じた。本発表ではいくつかこの体制による成果が述べられた。児童の外国人に対する壁が低くなった。耳が慣れた。他の教科で成績の良くない児童もアクティブに授業に集中している。そして、英語で「Very Good!」と誉められることにより自尊心が育成された。この最後の項目が一番大きな成果だと筆者は考える。義務教育の中での児童英語教育は、単なる言語科目ではなく、国際理解、人間理解、ひいては自己理解の育成が目的でもあることを再認識させてくれた発表であった。
鈴木拓郎(中部大学3年)
学級担任が進める英語教育 〜コミュニケーション能力の育成〜
泉和宏 (金沢市立森本小学校教諭)
森本小学校では英語に親しむために、英語の授業を年間35時間導入できることを目標としている。しかし、EAAやALT・EACの先生が実際に授業できる時間は年間16時間であるという。そこで、足りない時間を埋めるために森本小が実践しているのは、クラス担任が英語の授業を行うというものである。朝活動の15分の時間を利用し、『えいごリアン』のビデオを視聴したり、ビデオの基本表現を用いてゲームをする。また、ワードブックを使用し、コミュニケーション能力を高める、などいである。
さらに、ALTを招いての授業も定期的に行われるので、児童にとってはクラス担任から学んだ表現を実践する機会が与えられるわけである。
クラス担任は英語ができる人ばかりとは限らないため、基本的な授業の進め方、教材研究や研修が行われている。英語教育が専門ではないクラス担任が、児童を前に英語を使いながら教育実践できる時間は15分が適当であると主張された。
英語とは一見無縁に見えたクラス担任が英語を教えるのは、無謀に思われるかもしれない。しかし、小学校の先生しかできない英語の授業もある。しかも、森本小学校では先生方が研修を重ね、みな英語力の向上に努めている。本来は小学校ではやはりクラス担任が英語を教えざるを得ないという時間的制限がある。しかし、これが可能であることを見事に実践発表してくださった。森本小学校の英語活動への取り組みは上記の意味で画期的である。
教員の英語力の目安としてTOEICや英検を利用しているのかどうかも知りたかった。もちろん、その得点と教育力とはほとんど関係ないことも承知なのだが。
西野善博 (中部大学3年)
Presentation on
Teaching English to kids
Mr.
Michael Long
(Kernel
English Club)
Michael氏は子供に英語を教えるにはPhonics,
Choral Repetition, T.P.R., Q&A, Gamesの5つが大事であると主張された。この基本に基づき、このワークショップでは私たちを生徒に見立て、様々なアクティビティーを紹介された。競争意識やジャンケンを取り入れるものなどもあり、どれもつい児童がのめりこんでしまうようなものばかりであった。児童にはゆっくり喋るより早く喋った方が理解されやすい。素早く、飽きない程度に、何度もフレーズを繰り返させる。体を動かせさえる、ゲーム感覚で競争させるなど、児童英語教育の留意点を再確認させていただいた。時間があれば、もっと多くのアクティビティーを紹介していただきたいと思った。次の研究大会で再登場をお願いしたい。
岩田 麻理 (中部大学3年)
講演:
国際理解教育としての英語活動:『えいごリアン』を利用した活動の進め方〜「競争」から「共生」へ
冨田祐一(大東文化大学)
冨田祐一氏はNHKの『えいごリアン』の開発に関わり、この教材を通して児童英語の研究をされている。発表の中で冨田氏は、『えいごリアン』という教材を小学校10校で実際に使用し、その結果と考察について次のように発表された。
『えいごリアン』の特徴としては1.
ENGLISH ONLYであること、(日本語に訳さない)、2.NNS (Non Native Speaker)非母語話者を積極的に使う、3.修正をせず、そのままの状態をみせる(同年代の子供の外国語習得の過程における間違いなど)である。パントマイムや身振り手振りをすることにより、子供達は状況をなんとなく分かるようになっている。また、冨田氏は、子供の成長に応じた教材を使用することが大切であると主張された。
本発表の中では、スクリーンを用いて実際に『えいごリアン』が放映されたが、小学校3〜4年生が対象の番組にも関わらず、私も含め参加者全員が『えいごリアン』の世界に引き込まれてしまった。
新学習指導要領により新設された総合的な学習の時間によって、小学校では異文化理解や国際化理解教育の導入が始まった。児童が初めて外国語教育に抵抗なく接することができるように教師は努めることが必要ではないだろうか。『えいごリアン』はそのきっかけとしては最適なのではないかと感じた。
桜井智恵(中部大学3年)
シンポジウム:
「国際理解教育の一環としての小学校英語教育はどのように行うべきか」
司会 片桐多恵子(中部学院大学)
発表者: 中山兼芳(富士常葉大学)
岡部寛美 (浜北市立中瀬小学校)
平松貴美子(English Network)
「国際理解教育の一環としての小学校英語教育はどのように行うべきか」というテーマでシンポジウムが行われた。パネラーは中山兼氏、岡部寛美氏、平松貴美子氏の3人である。
まず、岡部氏に小学校、実際に行われている国際理解教育の報告をしていただいた。そのポイントとしては、日本語教師による異文化理解、総合的学習の時間と英語をつなげるカリキュラム、国際理解推進の原動力につなげるための教師の研修だ。オーストラリアの児童との交流でアウトプットを目的とするところもユニークであった。
平松氏の意見は国際理解と英語教育は別物であり、小学校の先生も国際理解教育のプロではない。よって、国際理解と小学校英語教育は同じところにはいられない、というものである。しかし、国際理解をスキルにつなげるということをねらいとした効果的な授業をするのが良いという。実践を通しての報告であったので、説得力があった。
中山氏の意見は明快だ。まず「国際理解教育」というのは、「異文化理解教育」という言葉で言い換えるべきであるという。国というより異文化を持つ人間間のコミュニケーションの大切さを前面に出す必要があるからである。次に、英語と文化は切り離せない。相手の文化の理解なしに、妙な英語を話せば、理解どころか誤解や障害のもととなる。よって英語を教えているときは異文化も同時に教える態度が非常に重要であると主張する。また、小学校から英語教育をとり入れようとする理由として、日本人は自分を理解してもらおうと行動しない人間が多いことから、もっと積極的にコミュニケーションをとれるようになれる人間形成をするためだということである。コミュニケーション、つまり異文化理解教育が大切な理由はそこにあると加えた。そして、その英語と文化を習得する教育方法として、クイズやゲーム的な活動・歌・身体を動かす活動・劇・イベントを通じて文化に触れることで英語と文化を定着させる方法が必要だと主張された。小学校では、勉強させるというのではなく、体験を通して学ばせるといったことが第一なのであろう。
どのように異文化理解を扱うべきかに対して結論はでなかったが、異文化と英語教育をどのように扱うべきかという、半ば英語教師にとって永遠のテーマに鋭く迫る意見が活発に交わされたシンポジウムであった。このテーマの難しさと重要さを思い知らされた。司会の片桐先生の上手なまとめ方に感心した。
園田利英子 鈴木絵美(中部大学3年)
モンゴルの言語教育事情
Elbegzaya Badamochir
(中部学院大学留学生)
中部学院大学人間福祉学部への留学生エベさん(Elbegzaya Badamochir)からモンゴルの言語教育事情についてご寄稿いただきましたので、紹介させていただきます。
モンゴルには小学校は約700校(そのうち私立小学校は約70校)あります。小学校は4年間、中学4年間、高校は2年間の計10年間ですが、2004年から11年間になります。現在は就学年齢は8歳からですが、7歳からになるのだそうです。普通の公立学校では5年生(モンゴルで言えば中学1年生)から英語かロシア語を教えています。しかし都会の私立小学校では1年生から英語を教えています。田舎では英語を教えている小学校は無いと聞いています。
私はモンゴルの首都ウランバートル〔人口約270万人)出身です。私が生徒だった頃は中学1年生から英語かロシア語から一つ選択だったのですが、現在は両方とも学べるようになったそうです。英語への関心や英語力の必要性が高まっているからだと思います。
英語学習の内容は教科書に沿ってアルファベットから始めますが、聞いたり話したりも勿論取り入れられています。私はイギリスにも留学していたのですが、日本での留学生活は充実しています。中部学院大学で福祉を学んだり、各地に案内してもらったり地域での体験も貴重です。大学近くの公立小学校での交流もとても楽しかったです。モンゴルの紹介に目を輝かせて質問してくれたり、何より耳が敏感でモンゴル語の発音を聞き取り見事に発話することに驚きました。
将来私は日本語教師になって日本とモンゴルの掛け橋になりたいと思っています。
役員会議事録
3/1/2003の支部研究大会後に行われた役員会の議事録の要旨を掲載いたします。
1.今後の研究大会予定
春:2003年6月15日(日)(第1候補)、6月8日(日)(第2候補) 愛知県役員担当
中部大学名古屋キャンパスにて
秋:2003年10月26日(日) 岐阜県
冬:2004年1月 静岡県
2.運営委員に推薦
野田かなえ先生(中部学院大学 総合研究センター)と平松貴美子先生(エデュケーションネットワーク)を6月の全国大会役員会で、運営委員に推す。
3.6月の次回研究大会の発表者候補者を推薦、募集する。
4.Newsletter担当者
記事等の収集をし、塩澤先生に送る。
愛知県: 杉浦先生
岐阜県: 野田先生
静岡県: 幸田先生
5.中部地区研究大会反省
-発表内容充実しており、参加者はみな食い入るように熱心であった。それだけにもっともっと多くの参加者を望みたい。
-会員のEmail網作りをし、他の団体(例:松香フォニックス)などのEmail網との「連結」をはかり、宣伝に励む必要がある。
-ホームページを作り、案内・宣伝・発表者公募に役立てる。
-経済的に貯金はあるが、今回の研究大会費は▲¥66,900であった。 少なくともマイナスにはならないようにしたい。
JASTEC中部支部事務局
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英語英米文化学科 塩澤正研究室内
0568-51-7248(研究室ダイヤルイン)
0568-52-0622 (FAX、学部事務室)
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